
那智の滝
“蟻の熊野詣”と称されるほど、多くの人々で賑わった巡礼の地・熊野。この地が阿弥陀信仰の聖地と注目された最初のきっかけは、延喜7年(907)の宇多上皇の参詣と言われています。しかし、歴史はさらに古く、『日本書紀』にもその名が記されているほど、古(いにしえ)から人々を魅了し続けています。
本来、熊野は修行の地。那智の滝も滝行の行場です。那智での滝行は「四十八瀧回峰行」が行われており、本谷、東ノ谷、西ノ谷、新客谷に点在する47の滝にそれぞれ番号と名前が付られています。1番はもちろん「那智の滝」こと那智一の滝。そして48番目の滝「内陣」は、実在せず、それぞれが心の中で瞑想するものとされているのです。
一般的に滝は、マイナスイオンによる癒し効果に注目が集まっています。しかも那智は、千年以上も前から人々の心を浄め、悩みや苦しみから解き放つ聖なる存在として在り続けてきた地。この地を訪れ、那智の滝を目にするとき、きっと心洗われる思いがすることでしょう。

大門坂
熊野詣が盛んだった当時は、貴族や上皇でも輿や馬に乗らず、歩いて参詣したといわれています。これは、歩いて参詣してこそご利益があると信じられていたからです。今は便利な電車やバスが門前まで通じていますが、健脚の方なら、大門坂を歩いて登り、往時をしのびながら参詣してみられることをおすすめします。約30分の道程は、急な登りではありますが、風情豊かな石畳の階段となっています。周囲は茂った杉木立で、森林浴の効果も期待できます。
この時期でも少しは汗をかくかも知れません。風邪をひかないためにも、タオルや着替えは持参してください。帰りは那智勝浦温泉で汗を流し、筋肉をほぐしてみては。ちなみにJR紀勢本線「那智駅」の2階にも温泉入浴施設があります。